2025.10.21/本・映画
弓と禅
オイゲン・ヘリゲルの「弓と禅」を哲学書のように思ってたけど、予想と全然違う面白さ。
神秘主義=神との一体化を弓道という身体実践で至ろうとした体験記がめっちゃ参考になった。むしろどの本より、東洋医学でいう天人合一を理解するための手引き書って感じ。夢中で読んでしまった。
僕も“神秘主義的な沈思の修行”を求める気持ちがあるので、この苦悩に共感。
「私が弓を学ぼうとそもそも思った、目指していた集中の修練は、多かれ少なかれ諦めていました。神秘主義的な沈思の修行に習熟したいという高い望みは、実現されずに終わるに違いないと思われました」
呼吸法と丹田の教えが深い。
「息を吸うことは結び、結び付ける。息を保つ間に、すべて正しいことが生じ、息を吐いて、あらゆる制限を克服して、解放し完成する」
自然に射が生ずるのを待つ、という説明がまるで指圧の持続圧のことみたいだった。
「雪の重みによって、押えられ、より深くなると、常に笹は身動きしないでも、雪は重みで突然、滑り落ちます」
僕の指圧の師匠が「治すのはあなたではない」と言ってたことを思い出した。
「快・不快の間を行き来することから離れなければなりません。ゆったりとした平静さで、まるであなたではなく、他の人がよい射を射たかのように、超然としていることを学ばなければなりません」
鈴木大拙のこの言葉はまさに天人合一。
「この無意識の状態は、完全に空となって自己から抜け出て、自らの技術的な技を行える者になった時にのみ、実現できる。その状態においては、道を漸進的に学習することによっては獲得出来ない、全く違った秩序にある何ものかがあるのである」