2018.03.02/コラム

「旅館の息子」のおもてなし


僕の実家は、石川県の山代温泉というところで小さな温泉旅館を経営していました。僕も大学を卒業して、不動産会社でマンション営業を経験した後、3年間ほど実家の手伝いをしていたんです。旅館という仕事は、当時(1997年くらいです)日本一厳しいといわれていた不動産会社の営業職よりも遥かにハードな仕事でした(正直舐めてました)。なにせ旅館は365日24時間営業ですからね。その旅館の中で一番の若者だった僕は、文字通り朝から晩まで(深夜に起こされるのもしょっちゅうです)必死に働いていました。

 

でもそんな僕よりも働いていたのが、女将である母です。旅館の正装である着物をビシッと着こなし、僕以上のハードワークを笑顔でこなしていました。

 

今でもよく思い出すのは、朝のお客様のお見送りをする母の姿。

 

観光バスや車でお帰りになるお客様を見えなくなるまで、そしてその姿が見えなくなっても、ずっと手を振ってお見送りをしてる。風の日も雪の日も、どのようなお客様でも、ずっと頭を下げている。その姿から、商売で大切なことを学んだと思ってます。

だから(少し恥ずかしいですが)僕の商売の師匠は母なんです。

 

「はり灸マッサージ院 牡丹」は旅館の「おもてなしの心」を持った治療院です。それは旅館を畳んでから15年経った今も変わらない。

実家の旅館は「花」という文字が入った名前でした。それで、僕の治療院「牡丹」も、弟の接骨院「コスモス」も、お花の名前から取りました。商売の師匠である母に恥ずかしくないような、誠実で心がこもった治療院にしていきたいです。

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